~いえいえ、あなたのせいではありません~
先日、部下の、
繰り返される失敗、
抜かり仕事だらけ!
挙げ句に言い返される!
という心身ともに疲れ果てているという方とお話ししました。
指示したことがまったくできない、同じミスを何度も繰り返す、それなのに指摘すると言い訳をして人のせいにする、といった状況が続けば、指導する側のメンタルが削られていくのは当然のことです。
特に、本人が「自分は仕事ができる人間だ」と思い込んでいる場合、こちらがいくら親身になって教えても反発ばかりが返ってきて、対話すら成り立たないと感じることもあるでしょう。
このような部下と向き合う中で、まずは上司である自身の心が折れてしまわないように、どのように自分を守り、どのように対処していけばよいのか、その具体的な処方箋についてお話ししたいと思います。
まず何よりも大切にしてもらいたいのは、今、自身が抱えている怒りや徒労感、そして「もう限界だ」という辛い気持ちを、決して否定しないことです。
何度も同じことを教えるのは想像以上にエネルギーを消耗しますし、それを他人のせいにされたときの理不尽さは言葉に尽くせないほど怒りがわいてきます。
コノヤロー!です😅
周囲から
「上司なんだからもっと根気強く教えなさい」とか
「相手の特性に合わせた指導を」といった正論を言われることもあるかもしれませんが外野から見て、色々言うのは簡単ですし、的はずれであることもあります。
先ずは、今日まで一人で対処して十分に努力し、忍耐強く向き合ってきた自分自身に対して「本当によく頑張っている、辛くて当然、腹が立って当たり前!」と、その心の叫びに全面的に同意、労うことが必要です。
自分の苦しみを認めることが、メンタルを回復させるための第一歩です。
その上で、毎日のストレスを劇的に減らすためには、部下に対する心の持ち方を少しだけ変えてみる必要があります。
それは「自分の教え方がまずいのか?」ということです(違うのでね!)
同じ失敗を繰り返す原因は、指導力不足ではなく、部下自身の脳の特性や、一時的に記憶をとどめておくワーキングメモリの容量によるものである可能性が非常に高いです。
つまり、人がどれだけ熱意を持って完璧に説明したとしても、相手の受け皿が機能していなければ、水はすべてこぼれてしまいます。これは誰の責任でもありません。
さらに、相手に対する期待値を完全にゼロにリセットすることも有効な防衛策です。
「普通はこれくらいわかるだろう」とか
「一度教えたのだから次はできるはずだ」という期待があるからこそ、それが裏切られたときに大きな怒りや失望が生まれます。
少し冷酷に聞こえるかもしれませんが、「この人は明日も同じミスをするだろう」という前提で対応する。
最初から期待していなければ、実際にミスが起きても「やはり予想通りだった」と冷静に対処できるようになり、感情の波を最小限に抑えることができます。
また、部下が激しく反発してきたり、人のせいにしたりする態度についても、まともに正面から受け止める必要はありません。本人が「自分はできる人間だ」と言い張るのは、実は「仕事ができない無能な自分」を認めたくないという、非常に未熟な防衛反応です。
自分のプライドを守るために必死になって周囲を攻撃しているだけなので、あなたが傷つく必要はどこにもありません。
部下が言い訳を始めたら、心の中で「あ、また自分を守るための防衛モードが始まったな」と、まるで他人事のように客観的に観察してみる事です。
感情的な言葉のドッジボールに付き合うのをやめ、一歩引いてスルーする力を身につけることで、驚くほど心が楽になります。
心の平穏を保つ準備ができたら、次は日々の業務を円滑に進めるための具体的な仕組み作りに取り組んでいかないとダメです。
今回の場合、自身の上司にも報告済みとの事なので、何かしらの対処済みかもしれませんが・・・
ここでのポイントは、本人の反発や言い訳の余地をなくす「仕組み」を作ることです。
最も効果的なのは、指示をすべて口頭ではなくテキストとして残すことです。
言葉だけの指示は、忘れる原因になるだけでなく、「そんなことは言われていない」という不毛な言い争いを生む原因になります。
指示を出す際は、必ずチャットやメール、あるいはメモに残し、いつでも本人が見返せる状態にしておきます。
これにより、ミスが起きたときも「ここに書いてある通りです。」と、感情を交えずに事実だけを突きつけることができるようになります。
また、指示を出した直後に、本人が本当に理解しているかをその場で確認することも重要です。部下からの「わかりました」という返事は、その場をやり過ごすための生返事であることが多いため、決して信用してはいけません。
指示の最後に「今伝えた手順を、あなたの言葉で一度説明してみて」と促し、実際に復唱させてみてください。
この時、私だけにこの対応ですか?と言われないように、皆がそのやり方を共有するのがベターです。
もしこの時点で理解が間違っていれば、その場ですぐに軌道修正ができますし、本人の「わかったつもり」を防ぐことができます。
さらに、複数の工程がある業務については、すべての作業を細かく分解したチェックリストを用意する必要があります。
例えば、一つのタスクを完了するまでにいくつかのステップがある場合、彼らは途中の工程を高い確率で忘れてしまいます。作業を一つ終えるごとにリストにチェックを入れ、すべてにチェックが埋まらなければ次の仕事に進めないようなルールを義務付けるのです。
このように、部下の指導に悩んだときは、相手の人間性を変えようとするのではなく、お互いの感情がぶつかり合わないための「仕組み」と「距離感」を作ることが最大の解決策になります。
こんなことまでしないといけないのか?と大変ではありますが、結局、部下のミスをカバーするのは上司の仕事になるので、1度、仕組みを作っておくと、後が楽です。
業務が最低限回るように環境を整えることだけが役割だと割り切り、まずは自身の心と健康を最優先に守ることです。
